引退馬を知る本14冊
2026年10月1日に版元・国立国会図書館サーチで書誌を確認した
引退馬については、この数年でまとまった本が何冊も出ている。ただ競馬の棚では予想本に埋もれ、社会の棚では競馬の本として扱われて、読みたい人に届いていない。ここは引退後を扱った本だけを抜き出した棚。
予想本・馬券の本は入れていない。現役時代の評伝も、引退後の記述が無いものは外した。
まず1冊選ぶなら
全体像から入るなら『セカンドキャリア』、短く産業構造を掴むなら『サラブレッドはどこへ行くのか』、知っている馬から入るなら『もうひとつの引退馬伝説』。
セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅
ルポ|片野ゆか/集英社/2023年12月/ISBN 978-4-08-771854-6
動物ノンフィクション作家が、馬の知識ゼロの状態から4年かけて引退競走馬支援の現場を歩いたルポ。リトレーニング施設や支援団体を横断して取材していて、いま何が動いているのかを一望できる。
向いている人:この問題を初めて知る人の1冊目に
サラブレッドはどこへ行くのか 「引退馬」から見る日本競馬
新書|平林健一/NHK出版(NHK出版新書733)/2024年12月/ISBN 978-4-14-088733-2
引退馬を扱うドキュメンタリー映画の監督による新書。誕生から競走馬時代、セカンドキャリア、そして肥育の現場までを7年の取材でつないでいる。
向いている人:産業としての全体像を、新書の分量で掴みたい人に
もうひとつの引退馬伝説 ~関係者が語るあの馬たちのその後
取材集|マイクロマガジン引退馬取材班/マイクロマガジン社/2024年9月/ISBN 978-4-86716-626-0
重賞を勝った著名馬の「いま」を、繋養先の関係者に直接聞いて回った1冊。種牡馬・繁殖だけでなく、乗馬や馬術競技に移った馬も扱う。
向いている人:名前を知っている馬のその後を読みたい人に
引退馬保護活動が抱える理想と現実 引退馬の未来に小さな光を
手記|林由真/日本橋出版/2023年4月/ISBN 978-4-434-31455-1
地方競馬の馬主資格を持つ著者が、クラウドファンディングで引退馬を保護し支援団体を立ち上げるまでの記録。資金と受け皿の不足という現実の側も書いている。
向いている人:支援する側に回ろうとしている人に
ボス猫メトとメイショウドトウ
写真エッセイ|佐々木祥恵/辰巳出版/2023年12月/ISBN 978-4-7778-3074-9
北海道新冠の養老牧場ノーザンレイクで暮らすメイショウドトウたちと、牧場に居着いた猫の交流を追った写真エッセイ。引退馬の普段の日常が写っている。
向いている人:重い話から入りたくない人に
白の時間 復刻版 名馬オグリキャップ引退後二十年の日々
写真集|内藤律子(写真)/学研/2025年12月(初版2011年)/ISBN 978-4-05-407076-9
引退レースから種牡馬時代、種牡馬を退いたあとの余生、そして最期の直前までを20年追い続けた写真集。生誕40周年で復刻された。
向いている人:1頭の馬の引退後を、時間の流れごと見たい人に
北の大地に生きる引退名馬の優姿
写真集|内藤律子(写真)/栗山求(寄稿)/コスミック出版/2025年1月/ISBN 978-4-7747-4451-3
グラスワンダー、タニノギムレット、ヒシミラクルなどG1馬10頭を北海道の牧場に訪ね、草を食む余生の姿を写真で収めたもの。
向いている人:会いに行く前に、どんな暮らしなのか見ておきたい人に
馬をたすけ 人をたすけ――名伯楽・角居勝彦がめざす「陽気ぐらし」
ノンフィクション|片山恭一/道友社/2024年4月/ISBN 978-4-8073-0666-4
JRAの調教師を引退した角居勝彦が、能登で馬を使った福祉や地域の活動に向かうまでを追ったノンフィクション。引退するのは馬だけではない、という側面から読める。
向いている人:人の側のセカンドキャリアにも関心がある人に
ボス猫メトとメイショウドトウと仲間たち
写真エッセイ|佐々木祥恵(著)/引退馬協会(監修)/辰巳出版/2026年3月/ISBN 978-4-7778-3347-4
ノーザンレイクの続編。30歳を迎えたメイショウドトウの開腹手術や、クラウドファンディングで建てた新しい厩舎など、牧場のその後を追っている。引退馬協会が監修に入った。
向いている人:前作を読んだ人と、ノーザンレイクのクラファンを支援した人に
もうひとつの引退馬伝説2 ~関係者が語るあの馬たちのその後
取材集|マイクロマガジン引退馬取材班/マイクロマガジン社/2025年10月/ISBN 978-4-86716-850-9
前作とは別の著名馬28頭の引退後を、関係者への取材でまとめた続編。種牡馬や繁殖に入った馬だけでなく、新しい仕事に就いた馬、功労馬として余生を送る馬、看取りまでを扱う。
向いている人:前作で足りなかった馬のその後を読みたい人に
人馬のウェルビーイング
論集|高見京太・佐野竜平(編著)/クリエイツかもがわ/2025年1月/ISBN 978-4-86342-382-4
大学馬術部の関係者による論集。引退競走馬をホースセラピーなど人の福祉に生かす研究に、まとまった章を割いている。残りは馬術の歴史や地域との関わりを扱う。
向いている人:引退馬が人の役に立つ仕組みを、研究の側から知りたい人に
ぱからん
小説|大和屋暁(著)/浦沢義雄(原案)/リトルモア/2024年10月/ISBN 978-4-89815-597-4
功労馬の放牧場で余生を送る馬が、現役時代の出来事を語り出すという設定のコメディ小説。ドキュメンタリーのふりをした作り話で、支援の実態を書いた本ではない。
向いている人:引退馬に、笑いから入ってみたい人に
優駿の門2020馬術
漫画|やまさき拓味/秋田書店(ヤングチャンピオン・コミックス)/2020年(1巻)/ISBN 978-4-253-30271-5
99戦1勝で競走馬を引退した馬が高校の馬術部に来て、馬術競技で「第二の馬生」を歩む漫画。引退競走馬が乗馬・競技馬に移る道を、物語で追える。リンク先は1巻。
向いている人:漫画で読みたい人、馬術に移った馬のその後が気になる人に
生きているだけでいい! 馬がおしえてくれたこと
児童書|倉橋燿子(作)/講談社(講談社青い鳥文庫)/2017年/ISBN 978-4-06-285658-4
引退馬協会の代表をモデルに、行き場のない馬を引き取り、震災で被災した馬を救う活動を描いた実話もの。小学校高学年から読める。
向いている人:子どもと一緒に引退馬のことを知りたい人に
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