推し馬探訪

引退馬のその後——245頭が現在どこにいて、会いに行けるのか

245頭を掲載。うち4頭は2026年10月4日に繋養先を確認した

競走馬は引退すると、繁殖馬・乗馬・誘導馬などに「用途変更」される。行き先が決まらない馬がいるのも事実で、それはこのページの後半に出典つきでまとめた。ただ先に書いておきたいのは、牧場や乗馬クラブで余生を送っていて、いま会いに行ける馬が245頭いるということ。

引退馬の情報は、牧場や団体ごとに散らばっていて、馬名からは探しにくい。近況も、見学の受付も、支援の窓口も、知られないまま過ぎていく。ここはそれを馬名から引ける一か所に集めた索引で、届いていない情報を、推しを探している人に渡すための場所にしたい。

筆者は一口馬主として3頭に出資していて、毎月の預託料の請求を受け取る側にいる。自分の出資馬がいつか引退したとき、その後を追える場所が欲しくて調べはじめた。「あの馬は今どうしているんだろう」と検索した人が、ここで1頭と出会えたらいい。

写真は掲載していない(権利者の許諾なく使わない方針)。文字情報と公式サイトへのリンクだけで構成している。

245頭の一覧から探す4つの質問で1頭を提案してもらう

引退馬のその後——競走馬はどこへ行くのか

競走馬の一生は、走っている期間のほうが短い。認定NPO法人引退馬協会は「毎年約7,000頭の馬が競走馬として生産されています」と書いたうえで、馬の寿命が20〜30年なのに対し競走馬でいられるのは2歳から長くて7〜8年だと説明している(引退馬協会「引退馬とは」)。残りの十数年をどこで過ごすかが、引退後の問題になる。

1. 繁殖に上がる

重賞やG1を勝った牡馬は種牡馬に、牝馬は繁殖牝馬になる道がある。ただし種牡馬になれるのは一部で、このサイトに載せた245頭のうち種牡馬の経歴を持つのは16頭。繁殖を引退したあと、あらためて余生の場所を探すことになる馬も多い。

2. 乗馬・乗用馬になる

引退した馬がそのまま乗馬になれるわけではない。全力で走るために鍛えられた体と気性を、人を乗せてゆっくり歩けるように作り直す再調教(リトレーニング)が要る。この工程を担う牧場やクラブが受け皿になっている。

3. 誘導馬・馬術・ホースセラピー

競馬場でレース前の本馬場入場を先導する誘導馬は、元競走馬の再就職先のひとつ。このサイトでは11頭を誘導馬として掲載している。馬術競技やホースセラピー、乗馬体験の相手を務める馬もいる。

4. 功労馬として繋養される

働かずに余生を過ごす馬を支える仕組みもある。引退馬協会のフォスターペアレント制度は、協会が所有する馬を「フォスターホース」として、会費・寄付・助成金など多くの人で支え合い終生繋養するもの(引退馬協会「引退馬とは」)。

公的な助成もある。功労馬繋養支援事業は、公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルが実施する助成で、2025年に「引退名馬繋養展示事業」から名前が変わった。対象は「中央競馬重賞競走勝馬又は地方競馬で実施されたダートグレード競走勝馬」で、登録を抹消していること、助成対象期間に10歳以上であることなどが条件(JAIRS「2026年 功労馬繋養支援事業助成金交付申請について」)。つまり、重賞を勝てなかった馬はこの助成の外にいる。

5. そのどれにも入れなかった馬

引退馬協会は「引退馬とは」のページで、用途変更の先で「肥育・殺処分(食肉処分含む)となる馬は少なくありません」と書いている。支援や見学が「余生を支える経済」に直結しているのは、この現実があるためで、会いに行くこと自体が繋養の費用を生む行為になる。

「あの馬は現在どこ」を自分で調べる方法

公表情報から追うなら、窓口は次の4つに集約される。

問題は、これらが馬名ではなく団体ごとに分かれていること。当サイトは4つを1頭ずつ突き合わせて、馬名から引けるようにしている。

引退馬を支える・知る

会いに行くこと以外にも、関わり方はある。どちらも情報が散らばっていて見つけにくいので、こちらで集めた。

支援のクラウドファンディングいま支援を受け付けている窓口15件と、これまでの実績引退馬を知る本14冊ルポ・写真集から漫画・児童書まで、最初の1冊を選ぶ

掲載している245頭の内訳

ここから先は、245頭ぶんの施設ページと公式SNSを1件ずつ開いて数えた結果。全国の引退馬すべてではなく、出典つきで居場所を確認できた馬だけを数えている。

掲載頭数245頭(29都道府県・90か所の牧場や施設)
地域北海道・東北 140頭/関東・中部 45頭/関西以西 60頭
見学予約なしで可 64頭/要予約 154頭/条件付き 6頭/不可・休止 5頭/未確認 8頭
支援の窓口里親・一口支援 124頭/会員制度 143頭/寄付 111頭/グッズ 133頭
最終確認2026年10月4日に4頭、2026年10月3日に4頭、2026年10月2日に4頭、ほか

確認できなかった馬の日付は上げない。古い情報は古いまま見えるようにしている。

会いに行ける引退馬

予約なしで見学を受け付けている施設にいるのが64頭、予約や事前連絡をすれば会えるのが154頭。牧場は馬が生活している場所で、観光施設ではない。引退馬協会は、フォスターホースの預託先を訪問するときは必ず事前の予約が必要だとしている(牧場見学についてのお願い)。北海道日高振興局も、引退名馬を見学する前に競走馬のふるさと案内所へ問い合わせるよう案内している(牧場見学のルール&マナー)。

予約なしで会いに行ける引退馬64頭予約すれば会いに行ける引退馬154頭

引退馬を支援する方法

余生の費用は、馬1頭あたり毎月かかり続ける。支援の入口は大きく5つある。

どの窓口が使えるかは馬ごとに違う。各馬のページに、公表されている支援の窓口と公式リンクを載せている。

牧場・施設から探す

3頭以上を掲載している受け入れ先。

Yogiboヴェルサイユリゾートファーム北海道/41頭ノーザンホースパーク北海道/15頭オールド・フレンズ・ジャパン(蒜山ホースパーク)岡山県/14頭ホーストラスト北海道北海道/14頭ホーストラスト鹿児島県/13頭ジオファーム八幡平岩手県/8頭Calm Days Farm北海道/6頭メタセコイアと馬の森滋賀県/6頭うらかわ優駿ビレッジAERU北海道/5頭乗馬倶楽部イグレット千葉県/5頭渡辺牧場北海道/5頭MTHケイムズ北海道/4頭TCC Therapy Park滋賀県/4頭ノーザンレイク北海道/3頭あしずりダディー牧場高知県/3頭社台牧場北海道/3頭コネクトファーム北海道/3頭ホースフレンドファーム北海道/3頭

地域から探す

北海道の引退馬120頭青森県の引退馬3頭岩手県の引退馬9頭福島県の引退馬6頭茨城県の引退馬8頭栃木県の引退馬5頭千葉県の引退馬17頭東京都の引退馬3頭長野県の引退馬4頭滋賀県の引退馬10頭岡山県の引退馬15頭高知県の引退馬6頭鹿児島県の引退馬17頭

現役時代から探す

G1馬の引退後47頭地方競馬で走った馬の引退後44頭競馬場の誘導馬になった引退馬11頭種牡馬になった引退馬16頭

よくある質問

引退した競走馬に会いに行けますか

会える馬はいる。このサイトに載せた245頭のうち64頭は予約なしで見学でき、154頭は予約や事前連絡をすれば会える。ただし牧場は馬が暮らしている場所で観光施設ではない。見学の条件は施設ごとに違うので、各馬のページに公表されている案内をそのまま載せている。

「あの馬は現在どこにいるか」はどうやって調べていますか

引退馬協会・TCC Japan・功労馬繋養支援事業(meiba.jp)・競走馬のふるさと案内所と、繋養している牧場や施設の公式サイトとSNSを突き合わせている。確認できた日を1頭ずつ記録し、確認できなかった馬は日付を更新しない。施設の在籍ページに載っていても亡くなっている例が実際にあるため、掲載をそのまま生存の証拠にはしていない。

情報が古かったり、間違っていたらどうすればいいですか

各馬のページに、繋養先を確認した日と、確認に使った出典のURLをすべて載せている。リンク先の公式情報のほうが新しければ、そちらが正しい。気づいた差分は次の更新でまとめて直している。

このサイトについて

編集・調査はホルダン。競馬の産業構造やお金の流れについてnoteで書いている。引退した馬の「その後」を追える場所が団体ごとにばらばらだったので、馬名から引ける索引を自分用に作りはじめた。

データの集め方と掲載の基準出典の選び方・載せないもの・更新の考え方推し馬診断で見つける4つの質問から、見守りたくなる1頭を6つの角度で提案するお気に入りの引退馬★をつけた馬と、その傾向のまとめ(保存はこの端末だけ)